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メッセージ

僕が主宰するレーベルOTONOMADOは、文字通り実体上「非営利の任意団体」です。

音源発表やツアー、公演企画制作など色々しますが、レーベルとしての利益はゼロです。

経費の回収が出来ればあとはアーティストに全還元です。

しかも経費の回収もアーティストへの還元と並行してやる、というシステムで運営していますから、アーティストには最初から負担がなく、良い音楽を作ること、それだけに集中してもらうことが出来ます。

そのため、実際は僕が一人で運営していますので、まずは全て僕の手弁当から始めています。

僕がやりたいことを、ですが。

(もちろん、僕もプロフェッショナルな音楽家の一人ですから、演奏や音源の売り上げなどから収入を得て生きていますし、OTONOMADOが行うほとんどすべてのプロジェクトや作品にアーティストの一員としても関わっています。しかしここではレーベルとしての活動、そして僕がこのレーベルの運営のためにしていることについて話をしています。)

 

しかし、国を跨ぐ大規模なツアーなど、とてもじゃないけど、僕一人で全部出来るわけがありません。

そんな時、素晴らしい仲間たちが、「音楽ゆえに」力を貸してくれています。

僕はそんな彼らに、音楽と感謝を送ることしか出来ないので、正直に言って、いつももどかしいのです。

しかしこういうやり方もまた、とてもナチュラルな流れなのかもしれないな、と思います。

美しいなと。

 

だって考えてみてください。

好きなミュージシャンのCDを買うことと、そのミュージシャンのコンサート企画を手伝うこと、どちらも「その人の音楽を聴くため」という点では違わないわけです。

また、例えば、買ったCDを友達にプレゼントすることよりは、自分が企画に参加したコンサートのチラシをその友達に渡す方が、しばしばより簡単なのです。

 

「あまりにも他人の善意に依存している」と思われる方もいるでしょう。

それはそれで間違った考えではないかもしれません。

 

ただ僕は一切の強制をしません。

そして、聴く人がいなければ成立しえない「音楽」はいつだって、「開かれた耳の善意」に依存せざるを得ないのです。

 

OTONOMADOに参加資格はありません。

常に、誰にでも、開かれています。

オフィスは僕がいるところであり、僕の頭、PC、メモ帳の中です。

僕の音楽、活動に賛同していただく必要はあるかもしれませんが、不満があればいつでも話し合いが出来ます。

(この点で僕は、「交流するハイパーノマド」です。)

 

僕は、「人生を豊かにするため」のアートを、旧来の音楽市場のように、利益追求を先行させたやり方で「売る」というのは、既存の構造も含め、行き詰っていると思います。

いま一度、「手作りのものを、手渡しする」感覚、それも、その作品のために命を削った人が生きるために「売る」感覚、そうしたものに立ち帰ることが求められると思うのです。

そして良いものが、人から人へ、また手渡され、広がってくれればいいな、と思っているのです。

 

(以上の文章は、OTONOMADOの前身であるLUCES DE MADRUGADAのホームページに掲載していたものを改訂したものです。)
 

2016年9月30日 岩川光

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